宿題

「宿題」と聞くと「夏休み」と反射的に思い浮かぶ。ドリル、自由研究、読書感想文。「夏休みの宿題」は締め切りがあるのが厄介で、夏休みが終わったら提出しなければならない。当たり前なのだが、「あと三日あれば」というような苦労をそこで覚えた気がする。

大人になって、「漢字ドリル」からはおさらばしたが、その代わり夏休みが大幅に短くなった。「先生」と呼びかけることが出来る人がいなくなった。解決に時間がかかる事柄が増えた。壊れたものは、自分で修理しなくてはならなくなった。答えの出ない問題が多くなった。

明日のことも分からないけれど、明日はあると見越してそのための準備を続けなければならないのが、大人というものなのだろう。大人の宿題は、一年、十年、一生続き、そこにいくつも片付けられないことが残るだろう。後悔することもままならないんだろう。

でも当然、昔から人はそうやって生きてきたのだろうし、文句を言っても仕方がないことを知っていたのだろうし、それに案外楽しく生きてきたのではないかと思っている。