いつも、なにか、少しづつ

古本屋の商売というのはとても単純で、売れそうな本をよそで買ってきて、売れなかった(売れなそうな)本を棚から外すという行為でできている。

古本屋にある本は、全て発売日から時間のたった本だから、旬というのも判断しづらい。(あることはある、作者が死んだとか)

これがどういうことかというと、自分の判断が正しかったかどうか、結論が出るまでに時間がかかるということだ。というより、「この本はもうダメだ」というのを自分で決めなければならない。それが3ヶ月なのか、1年なのか、10年なのかは自分次第。

いつも、なにか、すこしづつ積み上げていくと、確かに本屋の棚は良くなっていく。ただ、「自分にとって最高」の状態が「お客さんにとって最良」の状態かどうか。そこに、かなり大きな隔たりがある。「最高」の棚にも売れない本はあって、それはいつか「最高なのに」外すことになる。

こういう風に、古本屋の棚は流れていく。売れては無くなり、売れなくては無くなる。古本屋当人に出来ることと言えば、本棚の上を流れていく時間をコントロールしていくことだけ。そのために、いつも、なにか、少しづつやっている。