流行1

「古いものの話」になる。流行というものがあって、世間をそれが席巻するということがある。例をあげれば、鈴木健二の『気くばりのすすめ』や、磯村尚徳の『ちょっとキザですが』。西村京太郎や赤川次郎推理小説群はそれに相当するだろう。

流行があるということは、廃れることがあるということで、文字通り巷にあふれかえっていた赤川次郎片岡義男銀色夏生もさすがに見かけなくなった。あふれかえっていたのだから、本当に良く売れたのだろう。今は売れていないみたいで申し訳ないが。

古い本にも時折こういうのがあって、ありとあらゆる隅っこからなぜか現れる本というのがある。古い手芸の本の束に挟まっていたりして、そういう巷の普通の生活者たちが読んだのだろう。流行というのは、そういうものだと知ることができる。