新しい町に行く5

久しぶりに、林檎の皮を剥いた。包丁を手に持つなど、何年ぶりのことだろうか。本当に、思い出せないほど昔のこと。それでもおぼろげな体の記憶を頼りに、刀を下ろす。

 

まず四つに切った。量として、半分くらいがちょうど良い気がするんだけど、切った林檎を保存する方法が分からないしめんどくさいので、丸ごといただくことにした。ちょっと迷ってから、4分の1の林檎の両端を落とし、皮を剥いて、芯の部分を外した。

 

途中、半分に割れたり、面がでこぼこしていたり、両端の形がいまいち決まっていなかったりと、思わず写真に撮りたくなるほど不恰好。ちょっと笑いながら、いただきますと言ってからかじる。久しぶりの林檎は、ギュッと身がしまっていて、少し酸味が強くおいしかった。