物語は終わらない

雪が降っている。
展覧会の初日と、雪が降っていることに、なにか因果関係めいたもの見つけてしまうのは、頭の中で起こっている単なる錯覚なのだが、それでもそういう作業をやめることが出来ない。

「そんなに沢山、物語が必要なんだろうか」と思う。日常生活などありふれたことの繰り返しだし、ましてや自然現象と私の行動に因果関係があるはずがない。
そんなことは分かりきっている、と思いながらも、頭は物語の精製をやめない。様々なことを関連づけて、こじつけながら、続いていく。

おそらく、世界の中心は自分だと思っているのだろう。
そう思わなければ生きていけないのなら、そのために物語が必要であるならば、私は他人の物語にも、もっと優しくしてあげなければならないのだな、と思う。
雪が止んでも、それは終わらない。