中央市会大市(古本屋のお祭り)

一年に一度ある市場のお祭りがあって、毎日神保町の古書会館に日参している。お祭りと言っても、業者向けの古本のお祭りだから、古本ばかりが大量に集まってくるという芸のないものだ。ただ全国各地から本が集まってくる。高い物も安いものもある。とにかく沢山ある。

端的に言えば、五十万冊以上はあると思う。数えないから正確には分からないが、実際はもう少しあるだろう。木造の家なら傾くが、会館は丈夫に設計されているから大丈夫である。ただ、並べるのが本当に大変だ。みんなが見られるように、見やすいように陳列する。

それらの本を「全部見るのか」と尋ねられれば、「一応全部見る」と答える。「可能なのか」と問われれば、それは可能なのだ。古本屋は、本の背中は「色で見る」から、その本が「自分に関係ある」ものなのか「そうでないのか」は見た瞬間に分かる。

とりあえず大体全部見て、関係のないものはすぐに忘れるから、五十万冊でも六十万冊でも、見ることは見られるのだ。その中から、「自分に関係ある本」だけを相手にするから、時間も間に合う。
ただそれを買えるか、買えないかは別の問題となる。

明日、入札と改札というのをやって、本の持ち主が出品者から落札者に移動する。並べるのが大変ならば、片づけるのももちろん大変で、いくらITだなんだと言っても、パソコンは絶対に荷物を運んでくれない。あいつらがやるのは計算だけで、私たちはその計算の結果に従って、荷物を運ぶ。重い。

まぁ、とどのつまり、明日がお祭りの当日なのである。我々は裏方だから、言うならば屋台を出して、お好み焼きを焼く係である。どうせやるからには、一生懸命焼いたらいいんじゃないかなと思ってはいる。
そして、みんなに怪我がないといいなとも。