あと2000日(その1)

私は今盛んに、東京オリンピックとともに今の仕事は引退すると言って回っ
ている。東京オリンピックは後付けだが、大体あと6年のつもりで、これは本
気も本気、大本気である。
「この業界あと10年もたないだろう」と思っているからで、まぁこれには根
拠はない。

この私の言い分が大変に評判悪く、全く評判が悪い。「辞めたら何をして食
っていくんだ」とか「お前に何ができるんだ」とか、色々言われて聞く耳を
持ってもらえない。これを書いていて気付いたのだが、評判が悪いのは私の
意見ではなく、私自身なのではないだろうか。いや、そんな、バ、カ、な。

まぁ、「古書販売」という方法が10年もつのか50年もつのかは知らないのだ
が、能力のない人間が生き残りづらくなっていく状況は間違いないと思う。
最近、「出版物」の売上について楽観的な記事など見たことがないし、売上
も、市場の出来高も、ものすごく順調に下降している。

それを知って、この仕事を長く続けたいと言えるほど、強気になれない。
特殊なものを売買する仕事ではあるので、能力のある人は余裕であと100年続
けられるだろう(寿命さえもてば)。ただ私には、ユニークさもアドバンテ
ージもないので、希望はないのである。