のぞみ

支部の大市の手伝いを頼まれたので、それを口実に朝ダラダラと過ごせるのがありがたい。このセンテンスもその成果だ。
ただ、他の乗車客の出勤時間に合ってしまうと、電車がとても混むのが難儀だ。ダラダラとのトレードオフなのだが、世間を確認する機会だと思って甘んじる。

引越し先は蒲田という大田区の一角なのだが、駅中心部から離れた落ち着いた場所だ。目の前は廃れた商店街で、食べ物屋も少なく、「人はたくさん住んでいるのだろうが、みんな都心部に出勤しているのであまり見かけない土地柄」なのではないかと思う。

JRの蒲田駅へは歩いて15分というところで、ありていに言ってかなり遠い。
ただ蒲田は本当の繁華街で、店も人もわんさかある。私は大田区といえば地の果てのように感じていたから、この繁昌ぶりには驚いた。ただ、人間が大らかなのか、とても邪魔で歩きづらく、大声を出している人の率も高い。

私の引越し先は、その廃れた商店街の端っこの方にあるマンションの5階だ。私は住むならば1階が良いと思うタイプの人間で、理由は単純に一番出入り口に近くて、効率が良いから。単純。
ほとんど要求なんて無いのだが、ただ「もし叶うならば」という願いもなくはない。

引越し先の部屋は、とても狭い。ただ、良いところもあって、私の住む5階は、辺りの建物の中では一番高い位置にある。別に景色が良いわけではな無いのだが、空がとても近くて光がたくさん入ってくる。そして窓を開けていると、風が良く通る。ラグに横たわっていると、気持ちがいい場所だ。

良く光が入って、風通しがいい部屋が好きだ。これが得られるならば、私は何階に住むのも構わないし、だからこの部屋に引っ越すことにした。
今も私はこの文章を光の中で書いていて、気分が良くて、これを送信した後横になって、出かけるまでの間ぼんやりと過ごす。