真剣 勝負

ついさっき、蒲田駅のエスカレーターを降りた後、駅から少し離れた暗がりで、若い男の子と女の子が黙ってにらみあっていた。二人とも黙ってはいるものの表情はあって、どちらかが「げんなり」しているわけでも無い風なのがなかなか良かった。

すぐに通り過ぎたのだが、「これは駆け引きなのだろうか」などと考えていた。二人とも簡単なカードは出し切って、その後最後の数枚をどちらが先に通すのか。そして、どちらが勝つのか。二人とも真剣に心理のつばぜり合いをしている印象。いや、一瞬しか見ていないのだけれど。

どちらが勝つか、二人は幸せになるのか、には全く興味がないのだけれど、二人とも真剣なのがとても嬉しい(なんでだ)。
ここだけの話、私には「駆け引き」というものが分からない。私はどこかで、「物事の成否は一瞬にして決まるし、分かる」と思っている。

おまけに、「相手に勝とう」とは全く思わないのだ。勝つ時は勝つだろうし、負ける時はそんなもんだろう。どうせ結論は一個しかないのだから、あれこれは大体無駄だし、そもそも負けることが別に苦でもないのだ。揉めるくらいなら、さっさと負けて別のところをやりたい。

まぁ、そんなんだから、こんなんなのだが、それは置いておいて、でも真剣に何かをやっている人は好きだ。というか、真剣になにかをやっている人を見るのが好きだ。それが他人の恋のさや当てであっても。
欲を言えば、私の代わりに子供は四人くらい作っていただきたいのだけれど。