小説ベスト3

今、私はフィクションをほとんど読まない(毎週「週刊少年ジャンプ」は読んでいる。中年だけど)。「火花」を母親から頼まれて断ったくらいだから、アンテナの方も朽ちているのだと思う。とはいえ、かつての私は読書家だったから読んでいた。私の「読書家」についての規準は、以前述べたので省く。

この手の企画があるたびに同じことを書いているから、あるだろうと思って自分の記述を探したが、やはり見当たらない。こういう、「オールタイムベスト」みたいなものが好きなのは、読書体験の少ない大学生だからだろうか。その後、聞かれてないので答えていないのだろう。

私の「小説ベスト3」も、大学生時代に整理されてその後変更はない。その「水準」よりも、「自分との関わり合い」の濃淡の中で決められているから、これからここに選ばれたものに近づく作品はあっても、決して超えることはないだろう。ので、ここに挙げているものの「質」は担保にしていないからあしからず。

私の三つは、「広島に原爆を落とす日」つかこうへい、「夢の砦」小林信彦、「ドグラ・マグラ夢野久作、ということになる。
大体、ハイティーンの頃読んで、好きすぎて何回か読みなおしたものだ。私は同じ本を二度読むことが全くないので、よほどのことだったのだろう。

「広島~」を読んだのは中学生くらいだったと思うが、私の知りうる限り最もドラマチックで、最もフィクションだった。こういう風に書けるんだ、ということだけ感激だった。そして、今でも美しい物語だと思う。私の逆説癖は、間違いなくこの人から来たものだ。ex「あえてブス殺しの汚名を着て」

「夢の砦」小林信彦は我々の世代だと、テレビ評論と喜劇(と喜劇役者)再評価の牽引役というイメージが強く、好きすぎて店の名前にしてしまったものもいるくらいのカリスマ。exオヨヨ書林 私もその口だったが、それを除いてもこの小説が好きだった。

理想と現実、双方がガッチリ噛み合って、高く舞い上がって行く姿と、失墜。そしてその語り口。当然、まだ社会に出る前だったけれど、大人になったら「こういう風に仕事がしたい!」と願ったものでした。結果はご覧の通りなのだけれど、前野辰夫はまだ私の中に少しいる。

ドグラ・マグラ」は、この中では一番最近のもの。大学生になってから読んで、「スゴイ」以外のコメントが思いつかない最初で最後の小説。大学時代に推理小説研究会に入っていて、おそらく1000冊くらいミステリを読んだと思うのだけれど「ずば抜けて強靭」。最強。

以上、繰り返しになるけれど、「作品の質」は評価に全く関わっていないので、その辺のことはご容赦を。後、私は近代文学の素養が全くないので、そういった本がないのはそれが理由です。ぜひみなさんのベストも聞いてみたいものです。(適当)