『ジブリの森とポニョの海』(角川書店 2008年発行)

ジブリの森とポニョの海』(角川書店 2008年発行)

が、良い本だった。そして、読んでいて大いに傷ついたので、流れ弾をぶつけたいと願い、部分を書き抜いた。耳が痛過ぎて泣きそうだ。

この本はメインの部分は、ロバート・ホワイティング宮崎駿のインタビュー。ロバート・ホワイティング鈴木敏夫のインタビューで構成されている。

宮崎駿のインタビューは、常に必要以上に興味深い。

 

 

「ほとんどのエンタテインメント作品は変ですか? おかしいですか?」

「どうして日常の生活において、こんなにもエンタテインメント作品が必要になってしまったんでしょうね。これは社会学の領域の疑問です。誰か答えてほしいと思っています。僕はアニメーションづくりというものに従事する人間のひとりだと思ってきたんですけど、どうも、消費者として生きている人が多くなったと感じてます。……消費者が生産者になることはあり得ないと僕は思っていますから、極めて不愉快な日々を送っていますね。」

 


「今、僕が感じているのは『日本のアニメーションは終わりだな』ということです。

「え? そうですか? どうして?」

「子供たちが、バーチャル(仮想体験)なものだけで育っているからです。つまり、アニメーションというものは、自分の体が覚えていることを、思い出す作業なんですよ。アニメーションを描くときは、肉体で覚えた経験をもとに絵を描いていきます。これ以上前に進んだら、崖から落ちてしまう。ならば、落っこちまいとするときに人間の体はどのように動くか。普通に成長する過程の中で、自分の体の中に、いつの間にか入っている記憶を、外に出していくものがアニメーションなんです。」

 

 

「……ついこの前までは、外国の人にどうして日本人は漫画本をいつも読んでいるんだ? と聞かれていたものですけど、今はケータイにとって代わりました。それも何かにとって代わるんでしょうね。」