言ってることと やってること

最近は、引っ越し先をどこにしようかと回っていて、机の前に座って仕事をする時間が短かった。なんだか、いつも同じことを、違う言い訳で取り繕っているような気がするが、気のせいではないだろう。まぁ、引っ越しの方はなんとか決まるような気がしてきたので、少し安心している。

その代りということもないのだが、今日は久しぶりに、一日まるごと本に向かっていた。戦前の本をある程度まとめて買ったので、これにもうがっつりと関わろうと決めて、一冊づつ手に取っていく。10時から初めて、今22時半である。おそらく、縛りで5本くらい(大体120冊くらいか)しか進んでいない。

まず、本にブラシをかけて埃を飛ばし、雑巾で拭いて本をキレイにする。そして、パラパラと頁をめくって線引が無いかを確かめ、ものによっては落丁や切り抜きがないかどうかを確認する。線引の類は、古本を扱っていると結構ある。名前の書いてあるものは特に多い。本を大事にした名残だろう。

その後、目録に使うものは原稿に書き出し、値札を貼って、場合によってはパラフィン紙でお化粧をする。箱やカバーの有無を確かめる場合もある。今はネットで分かることが多いので、これは本当に重宝だ。そうでないものは、安めの値札を貼って、ある程度たまったところで縛っておく。

我がことながら、まぁ悠長なことだと少し笑う。1000円の本にパラフィン紙をかけている自分の姿を見ていると、もちろん良くいえば「丁寧」なのだが、まぁ時間と資源の無駄遣いである。店員さんがこんなことをしていたら、「即止めろ」と厳命するだろう。ただ、自分はそういうことをするのである。

私はそういう、「自分にしか届かない丁寧さ」を愛していて、特に即売会に持っていく本に関しては、本当に甘やかしてしまう傾向がある。「金にならない仕事」とはまさにこういうことで、普段自分の言っていることと正反対のことをやっている自覚がある。

お化粧をしたって、安い本が高くなるわけではないのは分かっている。ただ、お客さんが「うちの本」を見た時に「なんか可哀想だな」と思われるのだけは勘弁ならないので、最低限のものは持たせてやらないといけないという、なんだか親心のようなものがあるのだ。