中央市だより(8月31日版)

中央市だより(8月31日版)
ぐるりと見渡すと、森羅万象、あらゆることが本となって存在しているように見えてきます。YMOのコンサートパンフだってあるし、数メートル離れれば江戸時代に印刷された本もある。階を下れば、今や新刊本屋では手に入らなくなった漫画が、束となって山積み。世界の中でここだけ昭和か。いや、異世界なのか。
そんなことを、地方荷の入っていたダンボールを畳みながら雑談していました。
「でも、電車の中で本を読んでる子どもって、もう全然見ないですよね」
確かに。平べったい板のようなもので、電子の文字を読んでいる子どもたち。そんな彼らが、将来本を読んでくれる気が、全くしないのは気がかりです。ただ、「子どもに絵本を届ける」ような仕事はしていないので、大きなことは言えず、しょんぼりするのみですが。
私は「市場こそが、日本のガラパゴス」と、胸を張る者ですが、どこかのダーウィンに発見される前に絶滅してしまうのではないか、という危機感もあったりします。それでも、まず自分の仕事をやってこそ。本日ネット入札開催中です。

目録品を求めてうろうろしていたのですが、「コム・デ・ギャルソン写真集」が高いと知りました。確かに、なんかお金の匂いがします。
質の高い漫画の一口があって、それは久しぶりに見るなー、と思うくらいの水準。どこかのコレクターの放出品でしょう。一冊一冊が高いというのではなく、筋が通ってまとまっているのが好印象。古本屋は、もちろん高い本も大好きですが、「一つ筋が通っている」という方が点数を高く付ける傾向があります。自分の力だけではなく、「前の持ち主の力も借りられる」という点が良いのです。良く理解できないかもしれませんが、「丁寧に集められたものを見ると古本屋は興奮する」ということを覚えておいてください。いや、覚えておいても得は無いですが。