令和の古本屋4

「緊急事態宣言による東京古書会館休館のお知らせ

組合員各位
平素は東京都古書籍商業協同組合の交換会事業をご利用いただき有り難うございます。
報道にもありました通り新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、下記の期間において東京古書会館は休館となります。」

から始まるお手紙が届いた。まぁ、読んでのごとくである。
その先には、4月8日の17時をもって、窓口業務は終了。
4月21日(火)まで東京古書会館、通称・本部会館は休館。休館とはようするに「一切の市場業務・即売会の中止」ということで、ようするに市場と即売会は二週間死ぬ、ということが書いてある。
再開は4月22日(水)資料会から、となっているけれど、その下には当然「状況に応じて変更する場合があります。」とある。

古本屋の不要不急を身をもって証明した、と書くといくらなんでも卑下がすぎるだろうか。この件に関しては、皮肉を言いたい気持ちは全くなく、とても順当な決定だと私は考えている。組合にはお年を召した方も多いし、古本屋ではない職員さんをこちらの都合で危ない目にあわすことも避けるべきだし、「緊急事態とは緊急事態のことなのだ」と、しっかりと目を合わせるべきだろうと思う。
ただ一方で、当然売り上げの方も緊急事態になるわけで、市場がないのに今月末を乗り切れるのかという単純明快な崖っぷちに向かって、車を走らせている映像が頭に浮かんでもいる。

さて、それを受けて当店のことである。店員の中西さんが目を皿のようにして見てくれたのだが、とりあえず古本屋の店自体は自粛の対象にはなっていないとのことだった。
私が見た記事では、国によると7割から8割の人的接触を減少させたい、とのことだったので、当店の営業時間は週6日/8時間の延べ48時間。7割減らすと15時間なので、週二日だけ開ける、という考え方もあるにはある。
ただ、ついこの間は、いつもと変わらないよう生きていこう、と思ったので、さっきまで営業形態を変えるつもりはなかった。しかし、そう決めてしまうということは、頭になんらかの固定観念が出来てしまっているということなので、しっかりと二週間休んで家にいるのも良いかもしれないとも思った。
今は夜の20時なのだけれど、今日はまだちょこちょことお客さんがやってくる。もしそういう人たちが、「まだ世界が正常に動いている」ことを確認しにきているならば、ぜひお店は開けてあげたいと思う。とても難しい選択である。