古本を愛してくれるお客さまへ(東京古書組合広報)

https://www.kosho.ne.jp/?p=374

<<平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

この度の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、他業種の方々同様、古書業界も非常事態の中にあります。 思い返せば、この業界も幾たびかの苦難を乗り越えてきました。 遠い過去は知リませんが、私の知っている限りでは、バブル崩壊、インターネットの台頭、3.11東日本大震災と、時期や大きさは異なりますが、様々な影響を受け、立つ地を揺るがされてきました。
その度、多くの悲しき閉店を経験しましたが、新しい形態の店が生まれたり既存の店も色々と工夫しながら、力強く立ち上がってきました。しかし今回はそれ以上の危機を感じております

非3密の厳守・自粛要請があり、その結果ほとんど全ての古本イベントが中止になりました。
古書組合本部支部での会館展も中止。イベント中心の店は売り場を失ってしまいました。
さらに唯一残されていた流通の場である市場もストップしてしまい(※東京古書会館休館4/9〜21まで。その後の再開は未定)ほぼ活路を断たれた状況です。そしてその影響はイベント中心の店のみならず、ネット、目録、実店舗全ての店にとって一つの大きな流通手段を失うという、計り知れない大きな痛手となりました。
この度の休館は危機的状況回避・感染拡大防止のためとはいえ、なんの前触れもなく急に決定されたことであり、組合員の皆さんには動揺を与えてしまいご迷惑をおかけしました。 また、実店舗の古本屋は現在、開ける店閉める店で分かれています。どちらも、個々の店が悩み考えた末の苦渋の決断とご理解ください。

補償の問題がどうなるかわからない中、今日も古本屋は自分の行く道が正しいのか間違っているのか、日々悩み、心は揺れ、疲弊していっています。 困難の時代はまだ続くでしょう。
しかし文化の火は絶対に消してはいけない。
疲れ切った心を抱え冷たく閉ざされた世界に、本の力は必要です。

どうか皆さま。古本を愛してくれるお客さま。
この古書業界を、古本屋たちを、暖かく見守っていてください。
いつの日かウイルス禍が終息し、また街に古本屋の灯りがともると確信しています。
サイト「日本の古本屋」にも全国各地の古本屋おすすめの本がずらっと並んでいます。 ぜひご利用ください。 皆さまと、店で、各種イベントで、古書会館で、笑顔でお会いできる日を楽しみにしています。 それまで、ウイルスに感染しないよう感染させないよう、どうかお身体にお気をつけて。

東京都古書籍商業協同組合広報部長 流浪堂 二見彰  2020/ 4/13>>

 

「東京古書組合」から、この度のコロナウィルス禍を受けての声明が、広報部長より「おしらせ」という形で発表された。

「東京古書組合」は、およそ600点ほどの古本屋が加入している商業協同組合だ。東京に存在する全ての古本屋が加入しているわけではなく、非加盟の古本屋さんもたくさんある。例えば、ブックオフに代表される大型チェーンの古書店は所属していない。一店舗だけ営業している古本屋さんが、寄り集まって出来ている組合だと思っていただければまずはよいと思う。
店舗の売り上げは半減、なんなら自粛、外売りは言語道断、市場を開催するどころか会館自体が休館である。インターネットを利用した販売をしていなければ、まぁ無職と言ってもいいだろう。つまり私のことである。
おまけに、この状態がいつまで続くのかも分からないから、せめて一言、広報部として伝えようと出た「おしらせ」だと私は感じている。本当は書けることなど何もないのだから、内外に対してともに、なんとも苦しい文面なのだが、私は頭の下がる思いだ。

二見さんは、学芸大学でとても素敵な古本屋を開かれている。物静かなのだが面白い人で、ここでみんなに物まねをしてあげたいのだけれど、これを読んでいる人は似ているのかどうかもわからないし、なんなら文章だし、やってあげられないのが残念だ。