休むの休み

朝起きると、あいにくの雨だったので散歩はやめて家でゲームをやろうと決めた。
6時間くらいやめどころをみつけられずにいたところ、珍しく同業者から電話をもらった。これ幸いと放り出して、しばらく雑談した。電話回線なら感染はしないので堂々としていられるのはとても良い。まぁ、感情は伝染するけど。
電話をもらったのは揚羽堂という本屋さんで、主に外売りとヤフーオークションで生計を立ててらっしゃる方だ。その外売りの方が全滅してしまったので、ヤフオク以外にも「日本の古本屋」を始め、そこで面はゆい初商いが成立したのだが、クレジット決済完了のお知らせが来たところで「果たしてこれでよいものなのか」と不安になって私に確認を求めてきたわけである。
私は今でこそ適当にしかやっていないものの、古本屋としてのスタートは「日本の古本屋」であったので、その筋では大先輩である。電話越しになるべく偉そうな先輩声を出して、「それで結構です」とお答えした。確かに「日本の古本屋」でのやりとりでは、どのタイミングでお金がやりとりされたのか、今一つ判然としないというか手ごたえがない。ガシャーンみたいな、レジスターが開く音みたいなものが鳴ってくれるとわかりやすいのだが、と私も思った記憶がある。ペイペイだって「ペイペイ」と鳴くから、これはわりと一般的な思いなんじゃないだろうか。
まぁ、実際には「日本の古本屋」どうこうなどというのは口実で、「なんかみんななにやってんのかな」と気になる昨今だ、ということなのだろう。私も「ヤフオクはどうなんですかぁ」等、話を聞かせてもらった。マニアの方々はウィルスにも負けず元気で、特にオークションの相場が下落しているということもないそうである。出品する側としては、少しホッとするような話だなと思い、全くそちらとは縁がない私も、なぜか少しホッとした。
揚羽さんの事務所までは、歩いて駅をまたいで20分くらいの距離である。雨も止んでいたので、一瞬ビールでも差し入れてついでに一緒に飲もうかな、とも思ったのだが、4月いっぱいはお酒はやめることにしているので、言葉は飲み込んだ。そして、「あの揚羽さん」ですら売り上げのこととか気にするんだなぁと思って、感慨深かった。

私も明日は下北沢に出かけようと思っている。揚羽さんを見習って働く気になったわけではなく、中止になった「本の散歩展」の目録注文品を集めてくるのだけは、どうしてもやらなくてはならない。
明日は休むのを休むことにする。