流行3

流行の話が続く。古本屋は、莫大な数のアイテム数から自分の売る本を選ぶ仕事なので、「その本の価値」というものに比較的細かい人種だ。流行のものは廃れる。廃れた流行は、次に溢れかえることは書いた。つまり、廃れれば商品にならなくなるということになる。

なので、古本屋は息の長い商材を求める。内容が学術的であるとか、趣味的要素が強くコレクター向きであるとか。ただ息が長いということは、裏返せば流行っていないということでもある。(もちろんこれは、あくまで「傾向」の話で、本当は古本屋も少しは迎合する)

だから、古本屋の棚はいつも流行っていない。だから、店も当然流行らない。それを内心忸怩たる者もいれば、それを誇る者もいる。やってくるお客様も、流行りよりも流行らないものが好きで、古本屋にやってくる。その共生が、「本の海」の中でゆったりと行われている。