経歴と言われましても

ビルの申し込みをするのに、簡単な経歴書があると助かると言われ、思わず固まった。「経歴っすか? イヤ、無いっす」と、思わず声をあげそうになる。



「自分、何の背景もないっす。ただの古本屋です」

「いや、古本屋さんですよね」

「ただの古本屋です」

「いや、書くのは『古本屋』でいいんですが、何年くらいやってらっしゃるんですか?」

5年だか、6年目でしょうか?」

「いや、私に聞かれましても。そういうことを書いていただければいいんです」

「確かそれくらいです。『5年間古本屋をやっています。』だと一行にしかならないんですが、それでいいんでしょうか」

「良くないですね。それじゃあ、以前どこで働いていたかとか、年商がどれくらいあるとか、社員がどれくらいいるとか、そういうことを書きましょう」

「以前働いていたのはただの古本屋で、私の年商はすごい儲かってないし、社員には私がしてもらいたいくらいなんですが」

「それは、田中さんの『感想』ですから書かないでいいです。事実と数字を書けばいいんじゃないでしょうかね」

「事実なんて書くと、借りられなくなっちゃうんじゃないかと思うんですが」

「やる気があるなら、ちゃんと書きましょう。お願いしますね」



そこで、google先生に泣きながら質問したら、テンプレートを貸してくれたので、それを頼りに書いた。後、調べたら開業7年目でした、わたくし。