「ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ」(文春ジブリ文庫)

ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ」(文春ジブリ文庫
私は宮崎駿が好きで、やっている長編アニメ映画製作を代表とする仕事ももちろん好きだが、言っていることも大概好きだ。そう私は心の狭いオジサンが好みなのである。

なので、宮崎駿のインタビューなんて大好物で、口を開けば文句を言っている様子を大変好ましく見ている。
この本は主にそんな宮崎駿の悪口雑言と、映画「風の谷のナウシカ」をおそるおそる語る人たちの文章で出来ている。

気の毒なのは、選に入って寄稿している人たちで、「ナウシカということならば是非」と勇んで引き受けたのだろうが、いざ初めてみると「やばいぞこれ」と気づく。結果として、「私ごときがナウシカを語るなんてはなはだ僭越ですが」と必ず前置きが入る感じで、それがなんともユーモラス。

宮崎駿黒澤明は、見て楽しむもので触れると火傷して当たり前なのだ。
それでも、識者がやばさに気づきながら必死にナウシカについて書いている。そして読めば、思わず自分もナウシカについて語りたくなってしまいたくなり、つまりは自分も火傷必至のとても良い本でした。