機関紙と私

私は古本屋の組合に所属しているのだが、「古書月報」という組合の機関紙がある。そこから要請があったので原稿を書いた。頼まれていたのは結構前だったのだが、締め切りを一ヶ月勘違いしていて、たまたまあった電話に「あれの締め切りいつだっけ」「昨日だよ」という月並みなやり取りがあって、慌てた。

新ネタをおろす時間もなかったので、以前書いた日記を転載してお茶を濁すことに。ただ、全く同じなのは気がひけたので、思いついていたが使い道のなかった小ネタを足した。

 

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私は下北沢で小さな店をやっているのだが、このご時世、ご多聞に漏れず営業自粛と相成った。少しだけ考えたのだが、「よしじゃあネットをがんばろう」とかは一ミリも思わなかった。私はみんながやりそうなことは遠慮する傾向がある。
「営業自粛するフリをして実は店が開いている」という状態にすることについては大分頭をひねった。外に出す均一の台をどこかにしまって、店の扉を全開にして、外向きのショーケースに「閉店中」と大きな貼り紙を出して、普段全然売れない大判の棚を100円均一に変えて「ここの本100円」とか書いておいたらどうだろう。とか。通り抜けオッケーです、クレジット・ペイペイ使えません。日付のある領収書でません。ってやったら、なんとかなるんじゃないか。「閉店中 通り抜けオッケーです」とでっかい貼り紙がしてある店の中で、棚の本を選んでいるお客さんの写真撮って、twitterにあげたらバズるんじゃないか。と、頭の中がバズったところで考えるのをやめて、まぁ普通に休むことにした。

4月11日から14日までの四日間、朝昼晩三食きちんと食べて、一日12時間以上寝るという生活を続けていた。
普通に休むってなんだろう。そして、「健康とはなんぞや」と、自分なりに考えた結果だ。
私は、人間食べ物でできていると考えている。口から入れて、下から出た以外のものが自分になっているわけだから、着ている服以外は私はもうほとんど食べ物だと言っていいだろう。お分かりいただけるだろうか。
その四日の間は、一食が炭水化物だけになるのをなるべく避け、ようするにラーメンとかやめて、なるべくタンパク質と野菜が多くなるように心がけた。そして、ほとんど寝て本を読んでyoutube見る以外の行動はしなかった。当然お酒も飲まない。ぎゅうぎゅうに栄養を詰め込んで、寝ていることで抜くことができるだけの疲労を抜いた。最後にはあまりに寝すぎて腰が痛くなってきたが、最後まで横になりぬいた。
その過酷なんだか、全く過酷ではないのか分からない四日間を終えて、15日からは一日二時間、朝と晩歩くことをスケジュールに入れた。ぎゅうぎゅうに詰め込んだ栄養を、今度は健康に変えようという作戦である。19日からは、これに筋トレを加えようかと思っている。

ここ二十年の間、一週間以上の休みなど天地が逆さまになっても取れなかったのだが、ウィルスが流行ったらまとめて一か月払い戻されてきた。休みはあっても、遊びには行けないし、収入もないし、話し相手もいない。ただ時間だけはあるので、ご飯を食べて歩いている。

遅れてしまってごめんなさい。一番上がタイトルです。校正は不要です。
よろしくお願いします。

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時間もないし、誰も読んでいない「古書月報」の暗いページにこの一文が閉じ込められているのもかわいそうなので、ここにさらして供養とさせてもらう。

しかし、考えれば考えるほど、無人販売はとても無人ではできないことが分かる。
 

緊急事態延長宣言

どうも、緊急事態宣言が延長される雰囲気になってきたので、アルバイトの中西さんに「そういえば5月7日からどうしましょうか」とたずねたところ、「倉庫にいってネットの入力するのはどうでしょうか」と帰ってきたので、「それはワクワクしないですね」と返事をした。折角の長期休業だというのに、いまいち楽しそうな再開が思い浮かばず、少し悲しい。それに、「緊急事態」って緊急なのに延長するものなのか? するのか。
そこで、まず休業を6月5日まで延長する張り紙を作ることに決めた。そこで再び中西さんに「大見得を切るか、か細くやるか、真ん中くらいか、どれにしましょう」とたずねたところ、しばらくして「せっかくだから大見得を切りましょう!」という力強い返事が。そうか、と思ったので大仰に出ることにする。真ん中で、と言われないでよかった。真ん中だと、結局上と下も作らないといけないからね。めんどくさいよね。

「5月6日(水)は、先日出ました緊急事態宣言の最終日となります。ただ、世間ではいまだ病の風収まらず、泣く子とウィルスには逆らうことはできません。
当店、古書明日はもとよりの不要不急。よって、政府に先駆けまして、6月5日(金)までの休業延長を宣言いたします。心身ともにいたって健康ではございますが、この期に及んではなお一層の健康増進に励んで参ります。お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご容赦いただければと思います。
そして、激変する昨今の世界情勢。もし6月5日より前に当店が開店していることがございましたならば、一笑の上ご入店いただきますようよろしくお願いいたします。  店主拝」

おふざけがすぎるような気もするのだが、店主拝の下にお相撲さんのフリー素材を置きたい。置きたい。

洗濯機掃除

今日は朝から家の洗濯機を掃除していた。
引っ越してきてから四年くらいたつと思うのだが、考えてみたら洗濯機をキレイにした記憶がない。塩素系の洗濯槽カビ取り剤みたいなのを入れて空洗濯をする、みたいなことは思い出した時にやったりもしていたのだが、外側は初めてだ。
思っていたより汚れていて、特に埃と、入れる際に飛び散って溶けなかった洗剤が目につく。使い古しの歯ブラシと濡れ雑巾を使って、目につくところは全部キレイにした。
これで、玄関から脱衣所・トイレは全てわが支配下となったのだが、昨日掃除したにも関わらず、すでにその床に髪の毛がチラホラと見受けられる。私は一人暮らしなのに、どんだけ抜けてるんだろうかと少し恐怖を覚える。私の頭がやがて白髪になれば、あんまり目立たなくなるのだろうか。そのころには目も悪くなっているだろうから、そもそも全然気が付かないのだろうか。
そんな将来的な恐怖はあるけれど、とりあえず今は我が家を我が手に取り返すための闘いを明日も続けようと思っている。

手を入れる

朝目が覚めた後と、風呂上がりの二回ストレッチを20分くらいやっている。一週間ほどになるが、明らかに体が柔らかくなっているのが面白い。前より曲がる、痛みが減る、このままいくと一ヶ月後にはぐにゃぐにゃになっていそうだ。
「お風呂上りは効果的」とあらゆる先生が言っているのだが、これも実際にやっていると実感できる。ストレッチの素晴らしい点は、驚くほどすぐに効果が出るところにもあるような気がする。私はどうやら下半身の筋肉が大分固いのだが、一週間色々試してみたところ、出来なかった女の子座りがかろうじて出来る感じになった。肉体改造にハマる人の気持ちが、少し分かってしまった。

体の手入れが徐々に進んでいる勢いで、ついでというわけでもないのだが、今日から家の片付けを始めた。自宅では、あるはずのものがないことが日常茶飯事で、正直なところ、物の保管場所としては自分で信用ができないありさまになっている。
そこで、まず部屋ごとに備品リストを作って、ついでにそこを掃除するという作業を始めた。
とりあえず、今日は玄関・下駄箱・トイレ・洗面所の四か所に手を入れた。タオルの枚数を数えたり、いらない手紙類を捨てたりと、なにかと年末感が漂う。ただ備品リストを作るのは、「これこんなにいらないんじゃないの」と物を整理するきっかけになるので、良いアイディアだったと思った。
明日は、まず洗濯機を掃除して、次にものの積みあがった机周りを片づけて、机を「ただのものを置く台」としての機能から解放し、「机」としての尊厳を回復させてあげたいと思っている。

ここ四日間、散歩してストレッチしてゲームを8時間くらいやるという生活をしている。果たしてこんなおっさんが世の中に存在してよいものかどうかと自問しているのだが、自答するといろいろ差し障りがありそうなのでそこは避けている。

ようやく、「ピクロス」を全問解き終えた。昨日、一日50問くらい解いて、それに5時間くらいかかり、頭の中がおがくず詰まったみたいに。しかし、この自粛の中で初めてなにか達成したような気分になった。なにか課題を終わらせるのは楽しい。何かを「全部」終わらせるのは素晴らしい。

ストレッチはとても気分がよく、この自粛期間中で最も有効に働いている。いつのまにか浅めになっていった呼吸が、だいぶ回復した。
12種類の動きを10分くらいやるストレッチを日課にしているのだが、特に下半身の張りがきついことがわかった。「キツイな」と思った動きを長めに復習したりしていると、いかにも自分の体に手を入れている感じがしてとても楽しい。
ストレッチはマジで世界を救うと思う。

本業と筋トレ

https://hiphopdna.jp/news/10383
エミネムが自粛期間中の過ごし方について語る。)

「最悪だよ。作曲と筋トレだけ毎日やってる。テレビでスポーツがやってないのがウザい。まあ、マイケル・ジョーダンのドキュメンタリーはやってるけど。あの番組は、正常な感覚を少しだけ与えてくれるんだ。ニュースはあまり見ないようにしてる。常にパニック状態だから、ニュースを見続けると精神的に疲れる。」

特にエミネムに興味があるわけではないのだが、なんとなく目にした記事を見て、その通りだなと思ったので紹介する。確かにマイケル・ジョーダンは最高だし。特に、「作曲と筋トレ」をやっている、というのが素晴らしく見習いたい。

 

 

エミネムの作曲にあたる、私は本業の方には目をつむるとして、私も一応プランクとストレッチを毎日やっている。
プランクというのは体の体幹を鍛える筋トレで、腕立て伏せみたいな恰好をしてじっと耐えるわけなのだが、これはマジでつらい。マジでつらい。
ストレッチは、
https://www.youtube.com/watch?v=LXzpn0jN8Bg
(しなやかな体を作る毎日の9分間ストレッチ 石井亜美AmiIshii)
を一週間くらい続けている。数あるストレッチ動画の中でなぜこれにしたかというと、検索で一番上に出てきたから。でも、手頃で気にいっている。
ストレッチを始めてから、体が「開いている」感じがしていて、あぁ足りなかったのはこれだ! と思った。ストレッチは世界を救う、くらいの気分になってみんなに知らせたいくらいの気分なのだが、話し相手がいなくて少ししょんぼりした。

twitterと私

twitterを使っている。
下北沢のお店用のものもあるのだが、この前自分用専用のアカウントを作った。別に何をつぶやくわけでもなく、5分ていどの時間つぶし用として始めた。
私は、タイムラインが全部見切れないのが嫌なので、一人フォローをしたら、一人は外すような使い方をしている。今現在、レギュラーとして残っているのは、プロインタビュアーの吉田豪さんと、元アメリカ大統領バラク・オバマさんだ。
私はtwitterリツイートという機能を忌避していて、これについて話すと長くなるので割愛する。ただ、この吉田豪さんに関しては、リツイートすること自体に全て意味性とか文脈ががあって例外的に面白いと感じたので残っている。今は、いわゆる「地下アイドル」関連のものが多いのだが、全く分からないのに、それなりに面白いのはすごい。あまりにあまりだと、たまに検索したりするので、最近は少しづつ地下アイドルについての固有名詞が私の中に増えてきた感じがする。そのうち、動画とか音源とかにたどりつくようになるのかもしれないが、たぶんならないような気がする。できれば、「アイドルはそうでもなくて吉田豪さんが好きなんですよ!」みたいな人にはなりたくないなぁと思っている。
バラク・オバマさんに関しては、まず訳しながら読まなければならない時点で大分面白い。そして、多分そんなにおかしなこと言わないんじゃないかなぁ、という根拠のない安心感があるのがよい。それだけ。