在宅ウォーク

自粛期間に入ってから、毎日散歩をしている。
朝食を食べてから1時間、夕食を食べてから1時間。ただし、雨が降ったらカメハメハである。
始めてから一週間ほどたって一つ分かったことがあって、一時間ちゃんと歩くと結構疲れるのだ。朝ごはんを食べて散歩をすると、すぐに昼ごはんになり、それを食べ終えて本でも読み始めると、なんとなくすぐにベットで寝てしまう。お昼寝の時間というわけで、そういえば保育園に行っている時にそんな生活をしていたような気がする。夜の散歩を終えて、シャワーを浴びて寝て次の日になると、足が結構張っている。最初は理由が分からなかったのだが、昨日「あぁ歩いてるからか」とふと気が付いた。
ご時世から、散歩はなるべく人気のないところを歩くわけだが、夜なんかは女性が一人で歩いているところとすれちがうこともあって、申し訳ない気持ちになる。マスクで顔も隠してるし、不審者と見られても仕方がないというか、完全に不審者だ。ただ散歩はしたいので、なにかうまい方法はないだろうかと、少し悩んでいる。

人を避ける一番簡単な方法は、繁華街と逆の方向に歩いて行くということなんじゃないかと思って、今朝は家から駅に向かうのと逆の方向へ歩き出した。30分まっすぐ歩いていけば、自動的に往復1時間の距離になるはずだ。
ほとんど人通りのない住宅街をただまっすぐに歩いて行くと、小さな商店街や工場なんかがあったりするが、大して面白いものもない。まぁ、ただ目的もなくまっすぐに歩いているだけだから、何か変わったものにぶつかる方が珍しいはずで、そんなものだろう。
そんなことを思いながら、ちょうど30分歩いたところで、なにやら異常なほど道がまっすぐになった。振り返ると、信号が7基も8基も連なって見えて、同じ色で点灯している。やがて水のにおいがし始めて、川にぶつかった。私の住んでいるところは川沿いにあるのでそれには驚かないのだが、行きついたところは大分川幅が広く、海のそばに来ていることを感じさせる景色だった。そして、対岸には「羽田空港」の文字が。
えぇー、と思わず声が出た。引っ越してきてから4年くらいたつが、こんなに近くに空港があることなど、考えたこともなかった。人に自分の住んでいるところを紹介する時には、必ず「大田区という地の果てに住んでいます」と言ってはいたのだが、空港なんてまさにザ・地の果てじゃん。
空港の施設自体は川の向こうにあって近づくこともままならないのだが、ビルとビルの間から飛行機が見えた。なんだかすごいものを見たような気がして、高揚した気分で帰り道についた。